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イッセー尾形とフツーの人々 新潟編  [演劇]

本番1回目は、実は、私は見てはいない。どうしてもいけませんでした。

本番2回目。最終日。
朝、本番前の稽古に、集まった人たちに、前日の感想をきいてきた。
「だめでした」「今日が本当の本番」「自分の言葉が話せていたのだろうか」
その中で、一人の女性が言っていた。
「年齢を重ねた人の発する言葉は、本当に、強い。こんなに人の言葉は強いんだってことに、きずきました」

稽古が始まる。前日の変更点の確認。後は、それぞれのグループでの自主トレ。
場所を探しながら、みなそれぞれに練習を繰り返していた。2日前と比べ、また皆の顔が違って見えた。一段とひきしまって見えた。「人に見せるものをやらなくては」という気迫を感じた。

 いよいよ本番の幕があく。2回目の公演。そして最後の公演。
 決して、上手とはいえない。間があきすぎたり、急ぎすぎたりというムラも見える。しかし、おもしろい。周りの観客も、おおいに笑っていたし、楽しんでいるようだった。練習では、見たこともないことをいきなりやり始める人もいた。それを見て、困った顔をしつつも、キャラクターのままのリアクションをするのが、笑いをよんだりもした。逆に、稽古では、ものすごくおもしろかったのに、本番では、全くうけなかったものもあった。
 やはり、演劇は水物。毎日同じことをしていても日によって、観客の反応も違うし、観客の反応によっても芝居は変化していく。きっと、前日は、また違う反応の、全く違うものだったのだろう。その時、そこにいた人しか、感じられない何かがあるのだろう、きっと。温かい拍手につつまれたカーテンコールでは、満足そうな顔が並んでいた。

 終わったあと、森田さんは「ほんとうに世の中にはいろんな人がいるんだなあ」と、改めて実感したという。演出家として、テンポのよい芝居を作らなければいけないとばかりおもっていた。今日の芝居は、テンポも悪いし、間が悪い人もいた。しかし、観客はしっかりと見ていた。テンポがいい人を生み出すには、テンポが悪い人の存在が必要になるし、間がいい人が引き立つには、間が悪い人がいる。テンポが悪い人や、間の悪い人も舞台に上がる資格があるし、観客もそれを見たいと思っているかもしれない。本当に、世の中には、今まで、自分の興味がいかない人や、きずかなかった人・・・いろんな人がいるんだと、実感した、という。
 92人もの人が一つの舞台にあがるこの舞台は、ほんとうに、不思議なものだった。毎日毎日、通い続けて、写真をとり続けた、私も、とても不思議なものをみて、不思議な感覚にひたっていた。

 公演後のうちあげで、一人一人が自己紹介をした。誰が何をしているひとか、よくわからない中で、進んだワークショップ。学校の先生、歯医者、フリーター、学生、公務員、主婦・・・・ほんとうにいろんな人がいた。そしてそれぞれの思いを抱えて参加していた。自己紹介するたびに、歓声がおこる。その後は、記念撮影の嵐。本番をおえ、開放感たっぷりで、いい笑顔がいくつもあった。
 ある参加者がいった。
「人の真似をしてやってきたけど、だんだんやっているうちに、これって自分がやりたいと思ってできないことなのかな、とか言いたかったけどいえなかったことなのかな、って思ってね。なんか、言いたいことややりたいことを思いっきりやってみて、すごく自分を解放させてあげた気がしてすっきりしているんだよね」


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